金七倶楽部

金七倶楽部は、主に仕事帰りの社会人が集まって、JHPと一緒に社会貢献についてまじめに面白く考えていくクラブです。現在は、JHP活動隊OB、OGをゲストとして招き、これまでとこれからのボランティア活動について語っていただいてます。

第2回 JHP旭川
金田さん 入江さん 斎藤さん

今回は、北海道教育大学旭川校でJHP旭川として活動している3人の女性をご紹介します。金田阿左美さん、入江夏未さん、斎藤優香さんです。

JHPは2009年3月27日、平成20年度日本郵政公社年賀寄附事業として港区商工会館で東京報告会を開催、JHP旭川から3人を招き、旭川での活動を発表してもらいました。

旭山動物園で有名な旭川は、北海道の真ん中に位置する人口35万人の市です。地方の大学生の活動はどんな成果を上げているのでしょうか。3人の発表から、地域や大学に密着してネットワークを築き「できることから」着実に活動の輪を広げているJHP旭川の充実した活動が浮かび上がり、出席者に感銘を与えました。

今回の金七倶楽部は、前半は3人の発表の抜粋、後半は独占(!)インタビューという構成でお送りします。

JHP旭川のみなさん

東京報告会でのJHP旭川の発表

●JHP旭川とは?

JHP旭川は北海道教育大学の学生を中心としたサークルです。北海道教育大学の学生だった黒田昌樹さんが2003年3月隊に参加したところからはじまりました。黒田先輩は「できることから旭川でもやってみよう」と、帰国後に大学でサークルを立ち上げ、それ以降、毎年1〜2人が活動隊に参加しています。

JHP旭川は、JHPのサポート、国際協力・海外ボランティアへの参加、旭川から国際協力を広めることなどを目的に、様々な活動を行っています。

約18名の在籍者中、10名ほどが実際に活動しています。メンバーの参加動機は、「国際協力にずっと興味があった」、「国際協力について自分の知識を深めたり、将来教師として子どもに伝えられるようになるため」「身近な所から国際協力をしてみたかったから」などです。

2006年には、NHKのローカル番組に出演し、学校祭の後に旭川市で鍵盤ハーモニカを集めたいということを宣伝しました。さらに2008年には北海道新聞旭川版に活動に関する記事が掲載されました。

●主な年間活動

5月[アースデイ旭川]教育大学の学生が中心となり実行委員会を立ち上げました。2008年は金田さんが実行委員長を務め、カンボジア雑貨の販売、地雷体験コーナー、カンボジアクイズなどのワークショップを実施。
6月[国際協力フェスタ]札幌で行われているイベント。道内のボランティア団体がアピールする場で、JHP旭川はカンボジア雑貨販売、写真パネルで活動を紹介。
8月[ライジングサンロックフェスティバル]石狩市で開催される有名ミュージシャンが集まる音楽ライブイベント。ボランティア団体の紹介ブースに参加し、JHP活動を紹介。地雷体験コーナーの設置、地雷クイズ、メッセージコラージュ(来場者からのメッセージカードで絵を作る)などを実施。
2月[地球市民村]旭川のイベント。JHPブースを設置して写真パネルの展示、鍵盤ハーモニカ清掃。
3月[旭川付属中学校合唱クラブのチャリティーコンサート]会場でJHPブースを設置。写真パネル展示、楽器集め、来場者への体験報告などを行います。

●年間を通じての活動

  1. 鍵盤ハーモニカを募集するポスターを大学周辺の店などに掲示。
  2. カンボジアや国際協力についての勉強会を実施。
  3. 報告会を通じてのサークル会員集め。

●岩見沢市の北真小学校とのつながり(2008年より)

北真小学校は、総合的な学習の時間のうち約70時間を国際理解教育に当て、国際理解に関する講師を招いて、同じ地球に住んでいる仲間として途上国の人たちのために自分たちができること、すべきことに取り組んでいます。

JHP旭川とのつながりは、2008年9月、5年生のクラスに招かれて、カンボジアの様子などを話したのがはじまり。2009年3月には、JHP旭川の3名が訪問。1年間の学習のまとめとして、小学生が集めた中古楽器を一緒に清掃する活動を行いました。楽器のないカンボジアの子どもたちのために、気持ちよく使ってもらおうと、小学生が一生懸命に作業をしてくれました。鍵盤ハーモニカ約250台、リコーダーも約250本を集めることができました。

●JHP旭川メンバーの活動を通しての感想

  • いろんなボランティア団体と交流ができ、カンボジアだけではなく他の国のことも知ることができた。
  • 自分が活動していく上での力になった。もっといろんなことを知って協力していきたいと思った。
  • 一般の方にも、もっともっと自分たちの活動について知ってもらいたいと思った。
  • 8月隊に行き、自分の目で見ることができ、自分に出来ることはないかと考えるようになり、活動に意欲的になれた。
  • JHPサポートとして大学限定ではなく、様々な活動をしている。幅広い年齢の人から話を聞けた。

●今後の活動方針

大きく2つ目標があります。これまでは、イベントごとに合わせた活動が多かったので、これからは日常の活動にも力を入れていくこと、また、より活動の場、活動の輪を広げていくことを目標にしています。

  1. 各種勉強会の充実
    1. JHPやカンボジアについての読書活動
    2. 地雷やフェアトレードに関する映画鑑賞会
    3. 勉強会で学んだことを生かしてワークショップを行う。
  2. 活動の場、輪を広げる
    1. 街頭や大学内での募金活動を行う。
    2. 鍵盤ハーモニカの回収を各種イベントで呼びかける。集大成として教育大学の学校祭で多くの人に清掃活動を体験してもらう。
    3. 北海道教育大学の分校や他の大学と出来る活動があれば協力していきたい。

●発表者の活動を通しての感想

金田阿左美(北海道教育大学4年生)

2006年8月隊に参加しました。帰国後に何かしなくちゃとすごく強く思い、それを地元の旭川で今まで活動してきたことがうれしかった。アースデイ旭川を地元で開催することができたことや、新聞に掲載された時には、「私の家に楽器が余っているので取りにきてくれませんか?」というような電話が結構入り、市民の方との交流を持つことができました。

旭川でもできることはたくさんあること、途上国の問題は先進国の私たちの問題でもあるということを、少しでも多くの人にこれからも伝えて行きたいと思います。


入江夏未(北海道教育大学4年生)

私も金田さんと一緒に2006年8月隊として活動隊に参加しました。帰ってきてからは、何かしなくちゃ、何かしなくちゃという思いがすごくあって、でも自分にはお金もないし、何も自分にはできないという思いがありました。その時に、「できることからはじめよう」という言葉がすごく印象的でした。

北海道はすごく遠いので、東京で活動しているメンバーとすぐに一緒に活動することはできませんが、「北海道で自分もがんばる!」、という所から少しずつ活動を始めました。今日も、みんな一人数台ずつ飛行機で鍵盤ハーモニカを持ってきました。本当にできることはちっちゃなことなのですが、それがカンボジアに渡って子どもたちに渡ってということを考えると、こういうこつこつはじめることが大事なんだなぁと実感しました。

私は、教育大学の学生で先生を目指していたので、将来出会う子どもたちに、自分が目で見たものや感じたことを自分の言葉で伝えたいという気持ちがあり、活動隊に参加しました。この4月から小学校の教員として勤務しますが、これから子どもたちに話したり、活動をずっと続けて子どもたちを巻き込んでいって、北海道から国際協力をどんどん広げていけるように頑張っていきたいです。


斉藤優香(北海道教育大学2年生)

私はまだカンボジアに行ったことはないのですが、この2年間JHP旭川で活動を続けています。今までは、国際協力についてほとんど知りませんでした。

高校の時に、青年海外協力隊に興味を持ち、大学でサークルがあるという話を聞いて、2年間活動してきました。最初は地雷のことなど知らないことばかりでした。勉強会やいろいろな方のお話を聞くことで、すごく刺激をもらったり、ショックを受けたり、いろいろ学ぶことができました。

今後も私は、旭川で身近な所から活動していきたいと思います。JHPの理念である、「できることからはじまよう」ということを大事にして、今後も頑張っていこうと思います。

「金七倶楽部」独占インタビュー

倶楽部皆さんは何学科ですか?
金田私たちは、教育学臨床系の学科に所属しています。小学校教員になるための学科です。JHP旭川には、他にも理科、数学、家庭科の専攻の学生がいます。
倶楽部斉藤さんはまだカンボジアに行ったことがないとのことですが、行きたい気持ちはありますか?
斉藤今までは自分は行けるのかなと、いろいろ悩んでいましたが、今はすごく行きたいと思っています。正直に言うと、カンボジアに行ってみたいという漠然とした思いはありましたが、あまり大きくありませんでした。自分自身の未熟な面や、知識が足りない面など、活動していいのかなぁという悩みがありました。去年の8月隊にエントリーしましたが、選考会に通りませんでした。
倶楽部私も活動隊でカンボジアに行ったことはないんですよ。毎年JHP旭川から何人か活動隊に参加していますが、カンボジアに行かないまま活動していて、斉藤さんはJHP旭川から何を得ていますか?
斉藤個人的な話になってしまいますが、私自身あまり行動力がなかったり、積極性がなかったりということが少しあります。JHP旭川でイベントに誘われて行ってみると、自分のカンボジアの活動だけでなく、例えば、フィリピンで活動する団体や、車椅子を海外に届けている団体や、フェアトレードに関係している団体など、自分の知らない世界がいっぱいあって、そこから学んでいけることが多くあります。
倶楽部そうですね。カンボジアに行かなくてもできることはたくさんありますね。ありがとうございました。
入江さんは学校の先生になって、子どもたちに伝えていくことになりますが、これからカンボジアの状況も変わっていく中で、どうやって情報を供給し続けようと思っていますか?
入江自分がカンボジアに行ってどうだったかということを伝えたいのが一番にあります。その前にまず、子どもたちはカンボジアという国もそんなに知らないですし、地雷って何だろう?という感じなので、カンボジアの良いところや、こんなにすばらしい国だということも含めて、話していきたいと思います。でも量が膨大すぎて、きりが無いので、削り取りながら今は話している状況です。
倶楽部活動をしながら情報をリニューアルしていくわけですね。私も先日カンボジアに行きましたが、日本人はアジアの途上国からすごく期待されていると思いました。期待されているから責任ある日本人にならないといけないと思うし、同時に、子どもたちにもそういう人に育ってほしいと思っています。その時に、「今もやっています」という姿を見せたほうが、子どもたちも積極的になると思うのですが、いかがでしょうか?
入江私はJHP旭川の学生としては卒業するのですが、札幌でもイベントをやるので、ちょくちょく顔を出したいと思っています。その中で、子どもたちと一緒に何かできることがあれば、一緒に探していきたいと思います。押し付けではなくて、子どもたちにとって本当に合っているのか、子どもたちがやりたいと思うことはどんなことなのか、ということを一緒に考えながらやっていきたいなぁと思っています。
倶楽部JHP旭川の活動から何を得ましたか?
入江月並みかも知れませんが、感謝する気持ち、ありがとうの心を教わりました。自分が置かれている状況が恵まれているということを実感したので、子どもたちにもわかって欲しいと思います。勉強できることが当たり前じゃないということをもっと伝えていきたいし、もっと勉強していきたいと思います。
倶楽部これからも活動を続けていく中で、何を得たいと考えていますか?
入江私は古い情報しか持っていないので、活動隊にこれから行く学生と関わる中でフレッシュな情報を得ていきたいし、そこから広がって、違う団体の違うジャンルの活動も学んでいきたいと思います。JHP旭川での活動が、知りたいと思っていたことの扉になりました。
倶楽部ありがとうございました。
金田さんはこれから大学院に進むのですね。JHP旭川の活動は続けますか?
金田はい。修士課程が終わったら学校の先生になる予定です。JHP旭川の活動は時間がある限り続けたいと思っています。
倶楽部アースデイ旭川を立ち上げたそうですが、金田さんはどのように関わったのですか?
金田たまたま、付属中学校の社会科の先生で関心のある方がいて、イベントで知り合いました。その時に「アースデイがあるんだけどやらない?」と声をかけられ、「やります」と言って、JHPの仲間を呼んだり、大学のアイヌ語サークルのメンバーを誘ったりして委員会を組んで、一から立ち上げました。
倶楽部今は何人くらいのメンバーですか?
金田去年の委員会はアースデイが終わって解散していますが、6〜8人位の少人数で動いていました。実は、今年のミーティングにはまだ参加していないのです・・・。
倶楽部行動力がありますね。そのネットワークの作り方はどのように始まったのですか?
金田『地球市民村』という旭川市役所で生涯学習として企画しているイベントがあり、国際協力や地球について知ろうというコーナーに参加したら、JICAの人とか先生方がいらして、JHP旭川のことを話した所からネットワークが広がりました。
倶楽部共通の関心を持った人たちが集まりやすく、互いの距離も近くて、地方の方が活動しやすい環境が整っているようですね。
入江アースデイ旭川のイベントの時も、市が会場やテントを無料で貸してくれて、本当に助かりました。
倶楽部市民のみなさんの関心はどうなのですか?
金田私の印象では、旭川市民の国際理解への意欲や関心はそれほど高くないと思います。でも、一人ひとりの意識、何か役に立ちたいという気持ちは高くて、きっかけがあれば必ず参加してくれると思います。そういう人たちを集めて、大きなネットワークをつくれば、活性化される潜在能力のある町だと思っています。だからアースデイとかを継続的にやろうと思っています。
中込人の温かさのある街なんですね。助けてあげたいという思いのある人が多いのでしょうか?
金田30代の女性の方から連絡が来ることが多いです。「息子の楽器があるけれど使わなくてもったいないから・・・」という電話もありました。
中込社会人になって忙しくなるけれど、このような活動が続けられるようならば本当にすごいですよ。
倶楽部JHPは東京中心になりますが、地方のネットワークを考えるときに参考になりますね。
中込今日の報告会で刺激を受けた人も多いと思います。とてもいい機会になったと思いますよ。
倶楽部金田さんはJHP旭川から何を得ていますか、何を得たいと思っていますか?
金田まずはつながりを持って、自分で伝えたいと思ったことは誰かに伝えて、仲間を作って、それを身近な人から旭川市民に・・・というようにどんどん輪を広げていきたいと思います。例えば、直接つながりにはならなくても、「そういえばこんな団体があったよ」と誰かが言って、聞いた人が活動的だったらまた広がるという具合です。そういうつながりを得ていきたいと思います。
入江でも実際はいろいろと失敗もあるし、JHPの本部の人に迷惑をかけないように気を付けてます。
中込何かやろうと思えば失敗もあるし、逆にそれが経験になってJHP旭川として成長しているのだと思います。でも怪我とかには気をつけてください。
倶楽部先ほどの報告にもあったけれど、イベントで桜のポスターを作るときに、花びら1枚につき10円募金してもらうなんて、本当に良いアイデアですね。それで2万円も集めるなんてすごいですよ。皆さん本当に研究していますね。
金田どうやったら楽しんでもらえるだろう、自分たちも楽しめるだろうというのを考えながらやっています。
中込皆さんの活動をJHPのホームページで特集したい位です。今日のインタビューが第一弾になりますが・・・。
倶楽部今日は本当にありがとうございました。
金田
入江
斉藤
ありがとうございました。

金七倶楽部これまでのインタビュー記事

第0回 2008-12-12 長谷川賢治さん
第1回 2009-01-16 小野寺良輔さん
第2回 2009-03-27 JHP旭川のみなさん
第3回 2009-07-08 黒田昌樹さん
第4回 2009-11-20 本丸愛子さん