活動コラム#1『カンボジアはもう支援は必要ない?』
~カンボジアの「今」を、現地からお届けします~
近年、カンボジアの首都プノンペンには近代的なビルが立ち並び、海外からの支援により道路や空港などのインフラ整備も着実に進んでいます。
こうしたニュースから、「もう支援は必要ないのでは?」という印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、交通手段といえば今もトゥクトゥクが主流というイメージをお持ちの方も
多いのではないでしょうか。
では、実際の暮らしや教育の現場はどうなっているのでしょうか?
現地で活動を続けるJHP職員が、そのリアルな姿をQ&A形式でお伝えします。
題して、「JHPプノンペン事務所駐在員が語る カンボジアの今」。
シリーズ形式で、現地の“声”をお届けしてまいります。どうぞご期待ください。
東京事務所職員 野村:
支援者の方から、「最近見聞きするカンボジアは、近代化が進み経済成長が
著しい印象を受ける。もう支援は必要ないのでは?」とのお声を頂くことが増えました。都心部は確かに発展していますが、現地調査で地方をまわっている水野さんはどの様に感じていますか?
プノンペン事務所駐在員 水野:
え?必要ないとのお声があるのですか・・。そうですかぁ。
地方は都心部とは全く違い、近代化の波は届いていません。農村地域の学校では、いまだに壁のない教室を見かけることも多いです。
最近撮影した写真を見てください。
これはシェムリアップ州の学校です。2021年に建てられた木造校舎ですが、
教室は1室と半室。見ての通り、壁がありません。
東京事務所職員 野村:
これはこれは・・・・私もこれまで現地で壁のない学校は見てきましたが、
さすがに1面の壁が丸々無い教室は初めて見ました。
昨年訪問した学校もやはり、机や椅子は土の上に直置きで、壁は四方トタンに囲まれていました。
その教室の屋根や壁には、いたるところに穴が開いていました。
壁が無いのは、暑さ対策もあるのでしょうか?
プノンペン事務所駐在員 水野:
そうですね。壁がない理由として、熱がこもるのを避けるためや、陽光を確保するためもありますが、多くの場合は資金不足が背景にあります。
また、暑さ対策とは言え、雨や強風の日は防ぎようが無く、おまけに床が土なので、授業どころではなくなります。
次の写真は、コンポントム州にある小学校です。
プレハブ校舎は地面に設置されており、乾季になると、内部は非常に暑くなります。
東京事務所職員 野村:
先ほどの学校は雨風で授業ができず、こちらは暑さで集中しにくい…都市部の印象とはまったく違う、もう一つの現実が見えてきますね。
プノンペン事務所駐在員 水野:
そうですね。この学校の写真は生徒数が少ないように見えますが、
実際は、生徒数は増え続けています。しかし農村地域では教室や先生の数が
追いついていないので、小学4年生以降は別の学校に通わざるを得ません。
今回ご紹介したのは、こうした現状のごく一部です。
今後も、現地の実情をお伝えしていければと思います。
東京事務所職員 野村:
現状について詳しくありがとうございます。
最後に、日本の支援者の方々に一言いただけますか。
プノンペン事務所駐在員 水野:
はい。支援者の皆さま、いつも温かいご支援をありがとうございます。
今回はカンボジアの農村地域の学校の不便な現状をお伝えしましたが、
子どもたちは学ぶことに一生懸命で、環境に負けないその強さに驚かされる
ことも多いです。
これからの国の未来を背負っていく子どもたちが安心して学べる教育環境を
つくっていくために、これからも皆さまのお力を貸していただければ幸いです。応援よろしくお願いします!