音楽教育プロジェクトの実績

これまでカンボジア国内の152校(小学校113校、中高14校、教員養成学校25校)に対して、音楽教員養成ワークショップなどのプロジェクトを実施しました(2015年6月まで)。その後は教員の指導力向上や現地の自立・継続性に重心をおくため、対象地域をプレイベン州コンポントラバエク郡に絞って活動しました。

プロジェクトの成果

地域別・学校種別 音楽プロジェクト実施校数(2015年6月まで)

地域名 対象郡数 対象学校数 教員数
小学校 中高等学校 中学校教員
養成学校
小学校教員
養成学校
1 プノンペン市 5 4 3 1 10
2 カンダール州 1 1 1 1 1 5
3 コンポンスプー州 4 23 2 1 32
4 コンポンチャム州 4 7 1 1 11
5 プレアシアヌーク州 2 15 1 21
6 タケオ州 4 7 3 1 1 19
7 コンポンチュナン州 4 13 4 1 22
8 プレイベン州 5 17 4 1 1 37
9 バッタンバン州 2 21 4 1 1 136
10 プルサット州 1 1 2
11 バンテミエンチェイ州 1 1 2
12 プレアヴィヒア州 1 1 1
13 シェムリアップ州 1 1 2
14 カンポット州 1 1 2
15 クラチェ州 1 1 2
16 ストゥントライン州 1 1 1
17 スヴァイリエン州 1 1 2
18 コンポントム州 1 1 2
合計 108 21 5 18 309

プロジェクトの内容

楽器を贈る活動(1994年5月~)

鍵盤ハーモニカ、ソプラノリコーダーなど、家庭や学校などで使われないまま眠っている中古の楽器を集めて、1995年から年1回のペースで海上輸送を行っています。
また、2018年3月までに、教育省教員養成局と協力し、全州にある25の教員養成学校へ合計2,092台の鍵盤ハーモニカの追加寄贈を行いました。なお、寄贈時には各校の指導者の数や授業の内容、課題などについてインタビュー調査も実施しました。

日本人音楽教師派遣(1996年5月~1999年3月)

日本人の音楽教師を2名派遣し、プノンペン市内の現職教師を対象とした授業を実施しました。

カンボジア人音楽教師による指導・教育(1999年4月~2001年3月)

カンボジア王立芸術大学副学長チャンダラー氏がプロジェクトを引き継ぎ音楽教室を実施しました。また、2000年8月から3ヶ月間、現職教師を対象にした集中講義を実施した結果、新たに音楽教師7名が誕生し、直接子ども達に授業を行えるようになりました。

熊本県海外技術研修員制度への協力(2000年度~)

2000年度より毎年、熊本県国際課の研修員招聘プログラムにJHPがカンボジア人教師1名を推薦し、芦北町にて音楽などの研修を行っています。

マーチングバンド支援(2000年1月~2014年3月)

子どもたちへの音楽指導及び課外授業の一環として、プノンペン市内の小中学生約100名を対象に3グループのマーチングバンドを結成し(「ワットプノン中学・高校」、「コラップモイ小学校」、「クバルチュロイサクラ小学校」)、JHPから日本のマーチングバンド専門家による指導の機会や活動に必要な楽器を支援しました。
現在、ワットプノン中学・高校のマーチングバンドはJHPの支援から独立し、カンボジア初の自主運営による市民バンドとして国内外様々な催しの出演依頼を受け、カンボジアの平和と安定のメッセージを伝え続けています。

詳しくはこちら(マーチングバンドのページに飛びます)

各種トレーニング・ワークショップ実施(2001年~2013年)

音楽教育の普及のため、各種トレーニング・ワークショップをカンボジア各地で実施。「音楽を教えたい!」と言う現職教師に対して、2年間(約30日間)の研修機会を提供し、修了した教師には楽器を提供。2008年度からは合唱指導の専門家を派遣し、 楽器が無くても音楽が普及するようにワークショップを実施しました。

育成の流れ 1年目

  • 1.音楽プロジェクト事前説明会
  • 2.音楽ワークショップ【初級】(毎年8月・10日間)
     音楽教育に関心のある教員養成学校の学生を対象に、音楽理論と演奏について、
     鍵盤ハーモニカを用いたワークショップをプノンペン市内で行います。
  • 3.フォローアップトレーニング(9月~翌年3月・計6日間)
     月に1~2回、各地域を巡回して復習を兼ねた実技と理論のトレーニングを行います。

育成の流れ 2年目

  • 1.音楽ワークショップ【上級】(毎年8月・10日間)
    1年目の音楽ワークショップ【初級】
    修了者を対象に、よりレベルの高い内容のワークショップを行います。
  • 2.フォローアップトレーニング(9月~翌年3月・計4日間)
    各地域を巡回してトレーニングを行います。
  • 3.音楽トレーニング参加(2年目以降)

※3年目以降は既卒業生対象フォローアップ(2日間)、音楽コンテスト参加を継続。

音楽コンテスト(2004年~2013年)

カンボジア教育省、各市県教育局との共催で、2004年度より10回開催しました。音楽授業の成果発表の場と位置付け、教員・生徒のモチベーションアップだけでなく、生徒の保護者や教育関係者、一般の方々も会場に招き、音楽教育に対する理解を深めてもらうことを目的としました。加えて、生徒がチームワークを育むことができる機会を提供し、各学校がお互いに競い合うだけでなく、他校の発表を鑑賞し、音楽を楽しむ機会を提供することにも注力しました。

開催年度 参加校(校) 参加者(人数)
第1回(2004年度) 38 1,481
第2回(2005年度) 50 1,806
第3回(2006年度) 74 3,114
第4回(2007年度) 88 3,033
第5回(2008年度) 97 5,602
第6回(2009年度) 103 5,279
第7回(2010年度) 117 5,382
第8回(2011年度) 38 1,474
第9回(2012年度) 38 1,855
第10回(2013年度) 38 1,450
合計 681 30,476

音楽教材作成(2006年・2009年度)

カンボジアで初となる「生徒用の音楽歌集」、2009年に「外国曲歌集」を作成。研修参加者や各学校の子どもたちに配付。 歌集は音楽の楽しさを広げていました。

カンボジア2地域への音楽普及プロジェクト(2011年~2013年)

教員の指導力向上や現地の自立・継続性に重心をおくため、対象地域を2地域(プレイベン州、コンポンチュナン州)へ絞りました。カンボジアの人々自身で音楽活動ができるような自立発展性のあるプロジェクトを目指していました。

プレイベン州コンポントラバエク郡での音楽教員育成及びカリキュラム開発事業(2014年1月~2016年3月)

プレイベン州のコンポントラバエク郡を対象として、より学校内で音楽教育が浸透するように、教育省と連携し、学校内での指導内容を試作し、トレーニングを受けた教員が学校内で子ども達の発達段階に合った指導ができるようになることを目指し、音楽教員育成及びカリキュラム開発事業を行ってきました。

2016年3月には、事業の最終調査の一環として、対象校における音楽活動の状況の変化と成果、また、課題を把握するための最終授業観察会を実施しています。
なお、最終授業観察会は、本事業の事前調査から観察に参加いただいている教科
調査官の津田正之氏を招いて実施しております。