JHPレポート

モンゴル・ウランバートル市内のゲル地区にある小中高一貫の公立学校。
2,000人を超える子どもたちが学ぶこの学校では、理科の授業で“実験”がほとんど行われていません。
理科の授業で使用される多くは黒板と教科書のみ。
実験キットや教材が十分に揃っておらず、子どもたちは「読むだけ・聞くだけ」の理科を学んでいます。
理科は本来、自分の手で試し、確かめ、「なんでだろう?」と問いを立てる教科。
その機会が十分にないことは、子どもたちの探究心の芽生えにも影響します。
この現状を変えるために、JHPは「モンゴル理科教育支援プロジェクト」を昨年秋より本格スタートしました。
本事業は、森村豊明会様のご助成を受け、2026年9月まで実施します。

近年モンゴルでは都市化が急速に進み、児童数が急増しています。
人口の約48%が首都ウランバートル市に集中していますが、学校数が不足しているため、1校あたりの在籍児童数が非常に多く、
二部制・三部制による授業を余儀なくされる状況が続いています。
その結果、学校現場では、
という現実があります。
現地の先生方は、決して実験を軽視しているわけではありません。
「本当はやらせてあげたい」「子どもたちに体験させたい」そうした声を、何度も耳にしてきました。
‟やりたい”気持ちはあっても、指導方法や環境が整わなければ実現できない。それが今の学校の姿です。

JHPはこれまで、カンボジアでの芸術教育支援を通して、教員研修と授業実践を組み合わせた「学びが根づく仕組み」を育ててきました。その経験を土台に、今回新たに取り組むのがモンゴルでの理科教育支援です。
本プロジェクトは、モンゴル出身の職員の提案から始まりました。
現地の学校現場を知る立場だからこそ見えてきた、切実な課題。そこに応えるかたちで生まれた、新しい挑戦です。
本プロジェクトを通して、以下の3つを目指します。

対象はモンゴル・ウランバートル市内のゲル地区にある公立第60番学校に通う4・5年生 366名。
子どもたちが「予想し、試し、考える」体験を得られるよう、環境整備と教員支援をあわせて行います。
モンゴルは、牧畜業をはじめ、石炭・銅・鉄鉱石などの豊かな鉱物資源を主な産業とする国であり、輸出の約9割をこれらの鉱物資源が占めています。
その発展を支えるのは、身の回りの自然現象や課題に興味を持ち、科学的に考える力をもつ次世代の存在です。
「なんでだろう?」その問いが、未来を切り拓く第一歩になります。
366名の子どもたちに届ける理科実験の体験授業は、一つの学校から始まる小さな一歩かもしれません。
けれど、その経験は、子どもたち一人ひとりの中に残り、学校や地域に新たな学びの風を生み出す可能性を秘めています。
この取り組みは、モンゴル出身職員の思いと、JHPがこれまで積み重ねてきた経験が重なって生まれました。
理科という新しい分野への挑戦。そこには、不確かさと同時に、大きな可能性があります。
子どもたちの「わかった」「もっと知りたい」、その声が広がっていくことを願いながら始まった
新たな学びの種をまく、本プロジェクトへの温かい応援の程、よろしくお願いいたします。
