音楽・美術教育

Arts Education

音楽・美術の楽しさにふれ、
ひとりひとりの感性が育つ教育をつくる

現地教育省やJICAと連携し、カンボジアのすべての子どもたちが音楽・美術を学べる環境づくりを目指して、
カリキュラム開発、教材作成、教員養成に取り組んでいます。
子どもたちが音楽・美術の楽しさを知り、豊かな心や感性を育める教育を届けます。

JHPが出会ったストーリー

正解のないワクワク
を教えてくれた美術の授業

前までは間違うのが心配で、絵を描くときに色を少ししか選べませんでした。
でも、JHPの美術の授業で「正解はないよ」と先生に言われてから、心がワクワクしました。今はたくさんの色をつかって絵をかいたり、工作をしたりするのが楽しいです。
今では、そのワクワクを弟や妹たちにも伝えています。

手探りの状態から
誇りを持てる仕事に

私は音楽や美術の教え方を学んだことがなく、「これでいいのだろうか」といつも手探りで授業をしていました。
でも、JHPの先生方と一緒に活動するなかで、表現する楽しさを知りました。
子どもたちが笑顔で作品を仕上げたり、音を合わせて喜ぶ姿に私も大きな力をもらっています。
今では、子どもたちの心の成長を支えることを誇りに感じています。

取り組む課題

芸術教育を担う“人材”の
圧倒的不足

カンボジアでは、内戦期に多くの芸術家や教員が失われ、今も伝統文化や芸術を教えるための人材が不足しています。そのため、これまで芸術教育を受けた経験がない教員にとって、芸術教科を指導することは難しく、「模写」や「楽器名の暗記」などの指導にとどまっています。

教材やカリキュラムの
整備不足

内戦後は国語・算数が重視され、音楽・美術は長い間、社会科の一部でした。独立教科となり授業が週1で制度化された今も、二部制により授業時間が確保しにくく、芸術教育にかける時間は日本の約12%に対しわずか約2%。独立教科となっても教科書や指導書のカリキュラムが整備されていないのが現状です。

芸術教育定着に向けた
仕組みの欠如

質の高い芸術教育を広く根付かせるための人材育成の仕組みが整っておらず、指導者が不足しています。 芸術教育が「技術を教える時間」と捉えられ、現場で子どもの創造力や思考力を育むという本来の価値が十分理解されていないことも課題です。

活動内容

「音楽や美術に言葉の壁は関係ない」そんな思いから芸術教育支援が始まりました。
芸術教育は「知識や技術を学ぶ時間」ではなく、子どもたちの想像力・表現力・文化理解など「豊かな心」を育むと信じています。 カンボジアの子どもたちが音楽や美術の楽しさを知り、質の高い芸術教育を受けられる環境づくりを目指して、段階的な支援を行っています。

  • 第1フェーズ 1995~2015

    カンボジアの子どもたちに
    音楽・美術にふれる楽しさを

    美術94校、音楽152校でプロジェクトを実施。中古楽器2,092台を寄贈し、教師育成研修や音楽コンテスト、絵画展を開催しました。

  • 第2フェーズ 2016~2022

    教材開発と人材育成の
    基盤づくり

    JICA草の根事業として、教育省と協働で芸術教育を支援。ナショナルトレーナー8名を育成し、1〜6年生の教科書・指導書の第1版が完成しました。

  • 第3フェーズ 2024~2027

    全国普及に向けた
    体制構築

    1都3州の教員養成大学と連携し、新たにナショナルトレーナー10名を育成中。教材の改訂と全国普及計画の策定を進めています。

初等科芸術教育支援事業

カンボジアの芸術教育の発展を目指し、JHP、JICA(独立行政法人国際協力機構)、カンボジア教育省が共同で実施しています。

  • 第1フェーズ 2016〜2022年

    音楽・美術のシラバス(授業時間割・学習内容)や教科書・指導書を開発。教員研修を実施し、ナショナルトレーナーとして8名の芸術科教員を育成しました。タケオ州でのパイロット事業を通じ、4校の教員合計24名が芸術教科を教えることができるようになり、1,000人以上の生徒達が芸術教育を受けることができるようになりました。

  • 第2フェーズ 2024〜2027年

    「芸術教育普及体制構築事業」として、芸術教育がカンボジア全土の公立小学校に広がることを目指して、3年間で人材育成と普及の基盤づくりを強化しています。

  • カリキュラムと教材開発

    音楽・舞踊・美術・手工芸等6領域に基づく初等科向け芸術カリキュラムと教材を開発。 現地の文化や声を反映し、2022年2月に1〜6年生の生徒用教科書及び教師用指導書の第1版が完成しました。

  • 教員養成と
    ナショナルトレーナー育成

    日本人専門家を派遣し、教員研修実施やナショナルトレーナー(教員指導者)を育成。教員養成大学の教員や行政官によるトレーナー体制により、現地で継続的に芸術教育を指導できる人材基盤を整備しています。

  • 全国普及のための基盤整備

    開発した教科書・指導書・シラバスを現場の小学校で実際に活用してもらい、授業モニタリングと教材改善を重ねています。また、教員養成大学のシラバス改訂案を教育省へ提出し、教員養成段階での芸術教育普及の基盤づくりを進めています。

アートプロジェクト(CAP:CCH Arts Project)

ローラさん(モデル/タレント)のご支援により、2015年からJHPがCCH学校で実施しているアート表現活動。
子どもたちが自己表現し、仲間と協力する力を育むことを目標に、チームで協働し作りあげる立体作品や絵画作品の制作、 鍵盤ハーモニカ合奏・歌、栄養指導などを行っています。日頃の活動の成果は、年に一度のアートフェスティバルで披露され、 作品展示や音楽、演劇を通して地域の方々と分かち合っています。

CCH(幸せの子どもの家:The Center for Children’s Happiness)とは

家庭の事情により生活や学習環境に困窮を抱える子どもたちをサポートするために2002年に児童養護施設として設立後、2023年より私立学校として独立。「Chan Yun International School」と協力関係を築きながら、学校運営を行っています。
通常の授業以外に、パソコントレーニングや裁縫などの職業訓練も実施しています。
また、JHPはカンボジア社会発展に貢献する人材育成支援として、CCH学校で大学進学を目指す青年を対象に、奨学金支援も行っています。

物資(画材/楽器)の提供支援

日本国内で寄せられた鍵盤ハーモニカ4,560台を清掃・現地へ寄贈し、カンボジアの学校での音楽授業に活用しています。教育省教員養 成局と連携して、全州の25教員養成学校へ合計2,092台の鍵盤ハーモニカを寄贈しました。
また、支援者様のご支援で画材を毎年提供しています。

※2026年現在は輸送手段がないため、鍵盤ハーモニカの寄贈活動は行っておりません。

支援を受けた子どもたち・先生の声

プノンペン教員養成大学
音楽科教員

モン・ネビー先生

音楽が初めての学生に教えるのは簡単ではありませんが、その成長を見るたびに、この機会をいただけたことを心から嬉しく感じます。JHPの研修で学んだことを生かし、一人でも多くの学生が音楽の楽しさに出会い、自分らしく表現できるように、これからも丁寧に指導していきたいです。

プノンペン教員養成大学
美術科教員

コン・ボリャック先生

JHPの研修では、日本の先生方から指導方法や発達段階を学び、実際の授業や見学を通して「芸術を通じた教育」の大切さを強く感じるようになりました。子どもたちが学びの中で変わっていく姿を見るたび、この学びに出会えたことへの感謝が深まります。得たものを学生たちに届けていきたいです。

バッタンバン教員養成大学
音楽科教員

ピアップ・ソピア先生

研修を通して、芸術教育が子どもの創造力や考える力を育てる重要な教科であることを実感しました。描画・工作・鑑賞の役割の違い、黒板の使い方や指導法、実演の大切さなど、多くの学びが授業改善につながっています。得た知識を学校に持ち帰り、より良い芸術教育を広げていきたいです。

教育・青年・スポーツ省
ウン・チネ総局長

日本の教育現場を訪問しての研修では、生徒に“考えさせる”日本の授業や、誰も取り残さない工夫に大きな刺激を受けました。教授の「教えたいことは教えない」という言葉も心に残っています。学んだことをカンボジアの芸術教育に生かしていきます。日本の皆さまのご支援に心から感謝いたします。

ラティアさん

音楽の授業はまだ数カ月しか習っていないけれど、毎回とてもワクワクします。 カンボジアの伝統の歌をみんなで歌う時間がいちばん好きです。
楽器の弾き方を覚えていくのも嬉しくて、いつか上手に演奏できるようになりたいです。

活動実績

  • これまでに
    芸術教育を受けた児童

    1,000名 以上

  • これまでに
    芸術教育の研修を受けた教員

    1,980名 以上

  • 芸術教育の指導力をもつ、
    ナショナルトレーナー※として育成されている教員

    ※教員指導者

    20

  • 鍵盤ハーモニカ(中古)
    現地寄贈

    4,560

JHPレポート

  • カンボジア・ナショナルトレーナー候補生育成研修を行いました!

    カンボジア・ナショナルトレーナー候補生育成研修を行いました!

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