JHPは1993年からアジアの子ども達に
教育支援を行っています

JHPは1993年からアジアの子ども達に教育支援を行っています

カンボジアの教育事情

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学校に通えない子どもたち

カンボジアでは ほぼ全員の子どもが入学してくるのですが、通い続けることは難しく、卒業できる子どもは9割を切っています。また、義務教育である中学校に入学するのは7割を、高校に至っては4割を切っていて、他のASEAN諸国と比べて低い水準になっています。
これは、都会を含めた全国平均ですから、農村部の子どもたちはさらに厳しい数字になっています。なぜ、そんなに多くの子どもたちが、学校へ通えなくなるのでしょうか。

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子どもが学校へ通えなくなる理由

カンボジアは、ポル・ポトの恐怖政治の時代、教師をはじめとする、知識人がほとんど虐殺されてしまい、内戦が終結した時には、教育環境は、徹底的に破壊されていました。子ども達が学校へ通えなくなる理由の一つは、学校の不足です。カンボジアの大部分を占める農村部では、村々すべてに小学校があるわけではなく、小学校がない村の子どもは、隣の学校がある村まで、徒歩で一時間以上掛けて通う子どもも少なくありません。仮に小さな小学校が有っても、低学年のみの課程しかなく、高学年からは遠距離通学や、寄宿して勉強しなければならない場合もあります。

理由の第二として、親の教育への無理解と、子どもの労働力としての役割です。
ポル・ポト時代に育った親たちは、教育を受けた経験がなく、教育の意義が理解されにくいのです。また、都会の就職先は、高学歴でないと受け入れてもらえません。初等教育を受けただけでは収入に直結しないので、学校に通わせる意義を親が見いだせないのです。また、農村での生活は厳しく、子どもの労働力に頼らざるを得ず、食べるのがやっとでは、授業料はただでも、制服やその他の学費を出すのが苦しいのです。

理由の第三は、教員の給料と塾の問題があります。
カンボジアの教員の給料は、2013年に約78ドルだったものが、2017年4月には約3倍の230ドルに伸びています。とはいえ、カンボジアの生活水準としては最低でも世帯収入として300ドルが必要だと言われています。このため、教員は副業をもっているものがほとんどです。農村部の教員は、副業をもてる機会がないため、定着率が悪く、先生がいないため、授業ができない学校もあります。都会の教員の副業の一つが塾です。カンボジアの学校は午前・午後の二部制で、教師も同様に二部制で働いています。そのため、午前に学校で教える教師は、午後に塾を行い、午後に学校で授業を行う教師は午前に塾を行っています。その塾では、自分が学校で受け持っているクラスの生徒に対して教えており、そこでは学校の勉強の復習ではなく、学校の授業の続きや補習を行っています。そのため、塾に行かなければ学校の授業についていくことが出来なくなり、塾に通うお金のない子供たちは、進級することがむずかしくなってしまいます。

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子ども達の夢

それでも子ども達は、学校が大好きです。「将来の夢」について聞いてみると、目をキラキラさせながら、口々に「お医者さん」「先生」「大工さん」など、大きな夢を話してくれます。そんな子供たちの夢をかなえるために、少しでも手助けをしていきたいのです。

JHPの支援活動

学校建設

学校建設

2021-2022年の教育省統計では、カンボジアの公立の小・中学校、高校の数は合計9,118校ありますが、どちらも必要とされる学校数より少ない状態であり、多くの小・中学校が2部制の授業を行っています。校舎そのものが老朽化している学校も有り、倒壊の危険、雨季の影響などで満足に授業が行えない学校もあります。
JHPは、カンボジアの子どもたちへ教育の機会を提供するために、老朽化した校舎の修復や、教室数の足りない学校の建設などを行なっています。

音楽教育

音楽教育

カンボジアでは、音楽教育はカリキュラムとしては存在しますが、実際には教材、教師の不足などの理由で普及していません。JHPでは、カンボジアのすべての学校で子どもたちに音楽の授業が行われることを目標に、音楽教育事業を推進しています。教員を指導する人材の育成のためのワークショップを開催しています。

美術教育

美術教育

カンボジアでは、美術教育はカリキュラムとしては存在しますが、実際には教材、教師の不足などの理由で普及していません。音楽教育プロジェクト同様、カンボジアの子どもたちが情操教育を受ける機会を提供し、教育関係者が情操教育の意義を理解し、カリキュラムの中に取り入れ、継続性のある質の高い教育体制が少しでも早く構築されるよう、美術教師の育成と啓蒙・普及活動に取り組んでいます。

衛生教育

衛生教育

カンボジアでは、清潔な水の供給が遅れている地方が少なくありません。また、トイレなど衛生関連のインフラが十分に整備されていないため、 雑菌の被害や感染症が多く、健康への被害が深刻です。JHPでは、学校建設前の最終協議の際に、教員、生徒代表、村民代表に対して、当会が作成した衛生教本を使い、清潔と健康の関係、トイレの使用促進、ゴミの扱いなどの指導を行っています。

CCH「幸せの子どもの家」

CCH「幸せの子どもの家」

CCH(The Center for Children’s Happiness「幸せの子どもの家」)は、ゴミ山で生活していた孤児を支援するためJHPが2002年に創設した児童擁護施設です。現在ではローカルNGOの資格を取得しています。

ボランティア派遣

ボランティア派遣

JHPでは「日本の若い世代への地球市民教育」を目的として、カンボジアへ20数名のボランティアを派遣しています。現地では校庭でのブランコ作りやJHPの学校建設事業や教育支援事業のプロジェクト視察、NGO見学などを行ないます。カンボジアボランティア隊は一般から応募した大学生を中心に構成されます。

私たちの活動にご協力をお願いします

JHPは、戦争や自然災害で教育の機会を奪われた世界の子ども達に、人種、国籍、宗教、その他の信条の違いにかかわらず広く教育等の援助を行い、また紛争や自然災害による被災地・被災者への救援活動と、これらの活動を通じて次代を担う若者達への地球市民教育を実践することを目的としています。