コラム
私たちは2023年度、2024年度と、Panasonic ホールディングスが主催する助成事業 Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs に採択され、専門コンサルタントによる伴走支援を受けながら、団体の強みや課題と向き合い、組織基盤の強化に取り組んできました。
その取り組みのさなか、2024年5月。JHPの創設者である小山内が逝去しました。
創設から30年以上にわたり教育支援の現場を切り拓いてきた存在を見送り、JHPは大きな節目を迎えます。
「これから私たちは、どこへ向かうのか。」
これまで積み重ねてきた歴史を振り返りながら、これからの未来を見つめ直すため、事務局では新たなビジョン・ミッションの策定に取り組むことになりました。
まず、事務局スタッフ、事業担当理事、カンボジア人スタッフ全員にアンケートを実施しました。
実は、カンボジア人スタッフも含めた全員アンケートをとったのは、初めての取組みでした。
寄せられた声には、多くの共通点がありました。
たとえば、
「ともに」「一歩ずつ」「学びたいという想いに寄り添う」「人と人とのつながり」「できることからはじめよう」……
こうしたキーワードをもとに、2025年7月から2026年1月まで、全8回にわたり事務局メンバーで話し合いを重ねました。
議論を進めていくと、あることに気づきます。
スタッフが大切にしたい言葉は似ているのに、頭の中に描いている未来のイメージが少しずつ違うのです。
アンケート結果をもとに言葉を整理するうちに、次第に「どの言葉を選ぶか」という表現の議論が先行し、
「私たちは何を信じ、何を大切にしているのか」という本質の共有がぼやけていきました。
そんな中で改めて確認されたのは、ビジョンやミッションという形式に縛られるよりも、
まずは“私たちが何を信じているのか”を整理することが大切だということでした。
議論の中では、これまでの活動を振り返りながらJHPらしさについても改めて整理しました。
挙げられたのは、次のような価値観です。
また、長年JHPを支えてくださっている支援者の方々からは、
という声をいただくことも多く、長年にわたり現地に寄り添い続けてきた姿勢や、継続的なフォロー体制が、そうした信頼につながっているのではないかという意見も共有されました。
それでも議論が行き詰まりを感じたとき、これまでの議論をいったんすべて脇に置き、自由に意見を交わす時間を設けました。
テーマは、とてもシンプルなものです。
「支援者の方から『JHPは何を目指している団体ですか』と聞かれたら、あなたはどう答えますか?」
「子どもたち一人ひとりが笑顔でいられる世界」
「一人ひとりの学びが、未来や平和へとつながっていく社会」
「教育を通して未来を担う人が育ち、社会や地域が少しずつ良い方向へ変わっていくことこそ、JHPの役割なのではないか」
という意見も共有されました。
アンケートの分析結果をもとにした議論から少し離れ、自分自身の言葉で語り合う時間を持つことで、次第に共通する想いが見えてきました。

議論を重ねる中で、JHPが目指す未来の核となるイメージが、少しずつ絞られていきました。
それは、次の二つの想いでした。
1)支援する側・される側を越えて、誰もが「学びたい」をともに叶える“oneチーム”でありたい
JHPの活動は、一方向の支援ではありません。
支援する人も、支援を受ける人も、互いに学び合いながら前に進んでいます。
2)「学び」と「誰かに貢献できた悦び」が循環する場をつくりたい
学ぶこと。そして、誰かの学びを支えること。その両方の中に、人の喜びが生まれ、次の行動につながっていく。
その循環こそが、JHPがこれまで育ててきた価値ではないか。
そんな共通認識が生まれていきました。
議論の中では、教育が社会や未来にどのようにつながっていくのかについても話し合われました。
一人ひとりの学びは、その人の人生を形づくるだけではありません。その人が家族を支え、地域に関わり、社会をつくっていく。
そう考えると、教育とは未来の社会をつくる土台とも言えます。
一人ひとりの学びが、未来へとつながっていく。
そんな長い時間軸での視点も、今回のビジョン策定の中で共有されました。
こうした対話を重ねて生まれたのが、JHPの新しいビジョン・ミッションです。


「学びたい」という気持ちは、最初から誰もが持っているとは限りません。
けれど、学びに出会い、知ることの楽しさや学ぶ意味にふれることで、心の奥に小さな「学びたい」が芽生えることがあります。
その想いは、自分自身の学びにとどまらず、やがて「次の誰かの“学びたい”を叶えたい」という願いや行動にもつながっていきます。
JHPは、支援する人・支援を受ける人という立場を越え、
一人ひとりの「学びたい」という想いが、人と人とのつながりの中で育ち、やがて社会の中で叶えられていく。
そんな未来を目指して活動していきます。
創設から30年以上。学校建設から始まったJHPの活動は、教育支援のさまざまな形へと広がってきました。そして今、JHPは第2のフェーズに入ろうとしています。
変わらないのは、教育の力を信じること。
そして、ひとりの「学びたい」が次の誰かの未来をつくると信じていることです。
これからもJHPは、世界の「学びたい」に寄り添い続けていきます。