JHPレポート

モンゴルの首都ウランバートルでは、急速な都市化により人口が集中しています。
学校では教室不足が深刻で、二部制・三部制授業が一般的となっており、限られた授業時間のなかで学習を進めなければなりません。
特に理科教育では、実験器具や教材の不足により、「教科書を読む」「先生の説明を聞く」ことが中心となり、子どもたちが自ら手を動かしながら学ぶ機会は十分とは言えない状況です。

理科は本来、自分の目で見て、手で触れて、「なぜだろう?」を発見する教科です。
その機会が十分にないことは、子どもたちの探究心の芽生えにも影響します。
JHPでは、子どもたちの探究心を育む理科教育の実現を目指し、2025年10月よりモンゴル理科教育支援プロジェクトを実施しています。
このプロジェクトでは、以下の3つを目指しています。
プロジェクトの第一歩として、2025年11月に現地の学校で授業観察や教員への聞き取り調査を行うとともに、児童・生徒1,481名を対象にアンケートを実施しました。
その結果、1,006名(回収率67.9%)から回答が寄せられ、半数以上の子どもたちが「理科の実験機会が不足している」と感じていることが分かりました。
「理科の授業で、もっと実験をしてみたい」
「自分で確かめながら学びたい」
そんな子どもたちのまっすぐな声が届きました。



子どもたちに実験の機会を届けるためには、教材を提供するだけでは十分ではありません。
その教材を活かし、子どもたちの「なぜ?」を引き出す授業が必要です。
そこで本プロジェクトでは、日本人専門家と協力し、以下の探究型授業案を開発しました。
さらに2026年3月には、現地教員を対象とした5日間の研修を実施しました。
研修では、理論学習だけでなく、教員自身が実験を体験しながら「問題を見つける」「予想する」「実験する」「考察する」という探究型学習のプロセスを学びました。

また、教員たちは熱心に意見を交わしながら授業案を作成し、模擬授業にも挑戦。
実際の教室でどのように子どもたちの主体的な学びを引き出すかについて理解を深めました。
あわせて、てこ45個、磁石45個、温度計15個を提供し、単なる器具の使い方ではなく、
「子どもたちの思考を引き出す授業づくり」に重点を置いた研修を行いました。

研修後、教員たちは新しい指導案と教材を活用し、実際に理科授業を実施しました。
「どんなものが磁石につくのだろう?」
「どうすれば重いものを楽に持ち上げられるのだろう?」
子どもたちは自分なりに予想を立て、友達と話し合いながら実験に取り組みました。
授業後には、
「初めて理科が楽しいと思った」
「自分で考えた答えが当たってうれしかった」
という子どもたちの声が聞かれました。

また教員からも、
「子どもたちの目の輝きが変わった」
「以前よりも質問が増えた」
という報告が寄せられています。
子どもたちが自ら考え、発見する喜びを感じ始めていることがうかがえました。

今回の教員研修では、参加した先生方が実際に実験を体験しながら学び、授業づくりについて活発に意見を交わしました。
また、研修後には実際の授業も行われ、子どもたちが目を輝かせながら実験に取り組む姿が見られました。
この記事では伝えきれない先生方の熱意や、学ぶ喜びにあふれた子どもたちの表情を、ぜひ動画でもご覧ください。
動画では、教員研修の様子に加え、参加した先生方へのインタビューや、実際に授業を受けた子どもたちの声もご紹介しています。
子どもたちの「なぜ?」を育むために奮闘する先生方の姿、そして学ぶ楽しさに出会った子どもたちの笑顔を、ぜひご覧ください。
モンゴルは、牧畜業をはじめ、石炭・銅・鉄鉱石などの豊かな鉱物資源を主な産業とする国であり、輸出の約9割をこれらの鉱物資源が占めています。
その発展を支えるのは、身の回りの自然現象や課題に興味を持ち、科学的に考える力をもつ次世代の存在です。
「なんでだろう?」その問いが、未来を切り拓く第一歩になります。
アンケートを通して、子どもたちが実験や体験を通じた学びを強く求めていることが明らかになりました。
その思いに応えるため、JHPはこれからも現地教員とともに、子どもたちの探究心を育む理科教育を広げていきます。
一人でも多くの子どもたちが「わかった」「もっと知りたい」、そんな学ぶ楽しさに出会えるように。
皆さまからの温かいご支援に心より感謝申し上げます。
*本事業は 公益財団法人森村豊明会様、立正佼成会一食平和基金様のご助成を受け、2026年9月まで実施予定です
