JHPレポート

JHPでは、カンボジア・コンポンチャム州において、成人のための識字教育事業を実施しています。
第7期となる今回は、対象となる2つの村で4つの識字クラスを開講し、15歳~64歳の成人100名(各クラス25名)が学びをスタートしました。
カンボジアでは、過去の内戦や恐怖政治、長年の貧困などの影響により、就学年齢の時に学校に通うことができず、十分な教育を受けられなかった成人が今も多く存在しています。
文字の読み書きができないことで日常生活での不自由を感じたり、就業機会が制限され、安定した収入を得られず貧困から抜け出せない状況に置かれている人々も多くいます。
さらに10代の若者の中にも、日中は家族の仕事を手伝わなければならず学校に通えない、または小中学校を途中で退学し学びの機会を失ってしまった人たちがいます。
識字クラスにはこうした若者も参加し、主にクメール語の読み書きや算数など、生活に必要な基礎的な学習に取り組んでいます。
識字クラスの開始にあたり、まず対象地域で非識字率や地域の状況の調査を行い、今期はコンポンチャム州 バティエ郡 サンダエックコミューン(地域)内にある、非識字率が一番高い2村で4クラスを開講することとなりました。
● 2025年度 実施期間:2025年11月~2026年6月(予定)
● 対象地域:タンチュレイ村(3クラス)、チョームマサオ村(1クラス)
● 受講生:100名(男性11名:平均年齢27.8歳、女性89名:平均年齢33.8歳)
● 教員:4名
識字クラスの開講に先立ち、各村で授業を担当する識字教員4名を公募し、筆記試験と面接を経て採用し、教員を対象とした2日間の教員養成研修を実施しました。
研修では、以下の内容を中心に学びました。
●成人教育の基礎その後、各教員が村長と協力し、各クラス25名の受講生を募集・選定しました。

● 開催日:2025年10月28日
開講式には、受講生のほか、郡教育局の関係者、地域のリーダー、識字教員、JHPスタッフが参加し、これから始まる約8か月間の識字クラスのスタートを皆で祝いました。

式では、地域関係者や教員から受講生へ激励の言葉が贈られ、参加者からはJHPの支援への感謝の言葉も述べられました。
さらにゲストスピーカーとして2期前の受講生2名から、識字クラス受講のメリットと取り組む姿勢についてお話をいただきました。
また、授業に必要な教材や文具も配布され、学びへの第一歩が踏み出されました。

ゲストスピーカー:2期前の受講生2名のメッセージ
式後には、各クラスが開講される教室を視察しました。

識字クラスでは、週6日、1日2時間の授業を約8か月間実施してきました。

授業では以下の力の習得を目指し、実施しています。
授業開始前にはプレテストを実施し、受講生の現在の学力を確認しました。
定期テストを行いながら、学習の進み具合を確認していきます。
さらに、スーパーバイザー、アシスタントスーパーバイザーによる巡回指導や、教員同士の月例ミーティングを行い、
授業の改善や学習環境の向上に取り組んでいます。

授業が始まって4か月が経った2026年3月、JHPスタッフが現地を訪れ、教員や生徒に話を聞きました。
生徒の中には、工場の残業や収穫期に遠くに働きに出るなど、どうしても授業に来られない人もいます。
そこで先生たちは、欠席した生徒に声をかけたり、夜に来ることが難しい生徒のために日中にも授業を行ったりと、一人ひとりに寄り添いながら工夫を重ねていました。
「どうすれば、もっと楽しく学んでもらえるだろう」
教員たちは、ゲームや雑談、ジョークなども授業に取り入れるようになっていました。

監督者のニャム・ネット先生からは、
「生徒の学習スピードが上がり、テストの平均点も上がっています」という嬉しい変化も聞かれました。
生徒のモーン・チャントールさんは、家族を支えるため小学2年生で学校を辞めざるを得ませんでしたが、
「もう一度、学びたい」という思いから、このクラスに参加していました。

少しずつ文字の読み書きや計算ができるようになり、
授業は楽しいです。文字を書けるようになって、自分の考えを人に伝えたいです。
そして、自分で計算しながら、お米を売れるようになりたいです。
と、これからの夢を話してくれました。その言葉からは、「できるようになった」ことへの喜びと、自分の力で未来を切り拓いていこうとする思いが感じられました。

●開催日:2026年7月29日
●場所:コンポンチャム州バティエ郡サンダエックコミューン スローン小学校
2025年11月に開講し、2026年6月まで実施した第7期識字クラスは、8カ月の学習期間を経て無事に終了しました。
2つの村に4つの教室が開設され、100名中、97名の受講生が修了試験に合格しました(そのうち89名が女性)。
この数字の一つひとつの背景には、仕事や家庭のことを抱えながら、教室へ通い続けた一人ひとりの努力があります。
修了式の日、会場には生徒とその家族、教員、地域の関係者など約80名が集まりました。

閉講式の様子(写真)
学びの成果を称える閉講式では、受講生代表のトゥン・アイさんが、「このプログラムのおかげで、私たちは学ぶ機会を得ることができました」と、JHPの支援への感謝と、最後まで熱心に指導してくれた先生方や、安心して学び続けられるよう支えてくれた村長・地域の方々への感謝の言葉を述べてくださいました。

受講生代表として挨拶してくださったトゥン・アイさん
「学ぶ機会」。私たちにとっては当たり前のように思えるものが、誰にとっても当たり前にあるわけではありません。
だからこそ、8か月間学び続けた生徒たちにとって、この修了の日は特別な一日になりました。
JHPのスタッフからは、
「知識は一生失うことのない宝物です」お金は使えば減ってしまいますが、知識は使えば使うほど増えていく。
身につけた知識をこれからの生活に生かし、新しい仕事や収入につなげてほしい。そして、修了後も学び続けてほしい――。
そんな願いを伝えました。

“文字を学ぶ”ことは、ただ読み書きができるようになるだけではありません。
自分に自信を持つこと。自分の力で未来を選べるようになること。
その小さな一歩が、人生を大きく変えていきます。JHPは、今後も「学びをあきらめない」すべての人を応援していきます。

修了式後に受講生たちと記念写真(写真)
本プロジェクトでは、受講生が基礎的な読み書き能力を身につけるだけでなく、学びの大切さを家族や地域に広げていくことを目指しています。
識字クラスを通して生まれる学びが、地域の未来へとつながっていくことを願いながら、JHPは引き続き活動を進めていきます。皆さまの温かいご支援の程、どうぞよろしくお願いいたします。

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本事業は、連合・愛のカンパ様、公益信託アドラ国際援助基金様、公益財団法人ウェスレー財団様、個人の皆様からのご支援により実施しています。
