JHPレポート

日本の小学校で、子どもたちが理科の授業で使った教材が、海を越えてモンゴルの子どもたちの学びにつながりました。
「使い終えた教材を、次の子どもたちの学びに役立てられないだろうか。」
そんな思いから、世田谷区立明正小学校のご協力のもと、3年生の理科授業で使用した「豆電球の実験キット」の寄贈活動を実施しました。
2025年末から企画を進め、学校・PTA・協力者の方々・JHPで話し合いを重ねながら、一つの取り組みを形にしていきました。
今回ご寄贈いただいた22個の実験キットは、モンゴル・ウランバートル市立第60番小中高一貫公立学校へ届けられ、38名の小学4年生が実際にキットを使った理科の実験を体験しました。
子どもたちが使い終えた教材を、次の子どもたちの「学び」へ。
明正小学校から始まった、新しい教育支援のかたちをご紹介します。
今回回収したのは、明正小学校3年生の理科「明かりをつけよう」の学習で使用した教材キットです。
最終授業では、このキットを使っておもちゃ作りが行われ、通常であれば、授業が終わった後は各家庭で遊んだり、役目を終えた教材として処分されたりするものです。
そこで、JHPの提案に賛同してくださった協力者の方々を中心に、保護者の皆さまへ「そのまま捨てるのではなく、モンゴルの子どもたちへ届けませんか」と、寄贈への協力を呼びかけてくださいました。

写真)明正小学校で集めていただいた実験キット
その結果、趣旨に賛同いただけるご家庭から、22個の実験キットを寄贈いただくことができました。

写真左)実験キットの寄贈 写真右)授業前に実験キットを組み立ててみる先生たち
一度ご家庭に持ち帰った作品を分解し、部品を確認して、再び学校へ持ってきてくださった皆さま。
一つひとつのキットには、明正小学校の子どもたちが実際に触れ、遊び、学んだ時間が詰まっています。
JHPが理科教育支援を行っているモンゴルでは、学校に理科実験用の教材が十分に整っていないという課題があります。
ウランバートルでは人口集中による深刻な教室不足から、学校によっては2~3交代制で授業が行われています。限られた授業時間の中で、知識を覚えることが中心となり、実験や体験を通して「なぜ?」「どうして?」と考える機会が十分に得られない子どもたちもいます。
理科は、答えを覚えるだけの教科ではありません。
自分で予想し、実際に試してみる。
思った通りにならなかったら、「なぜだろう?」と考える。
こうした体験は、科学的に考える力を育てるだけでなく、子どもたちの「知りたい」「やってみたい」という気持ちを引き出します。
だからこそ、実験できる教材そのものが、子どもたちの大切な学びの機会になります。
今回、明正小学校から寄贈いただいた22個の実験キットは、ウランバートル市立第60番小中高一貫公立学校へ届けられました。
同校はゲル地区に位置し、母子世帯や低所得家庭の児童生徒も多く在籍しています。全校児童生徒数は2,054名です。
今回の授業では、小学校4年生38名が二人一組になり、寄贈された実験キットを使って「電気を通すもの・通さないもの」を調べました。

実験では、実際に手を動かしながら、身の回りにあるものに電気が通るのかを確かめます。
「これはどうかな?」
「豆電球がついた!」
「どうしてこれはつかないんだろう?」
友だちと予想し、試し、結果を確かめる。

一つの実験キットが、子どもたちの「やってみたい」という気持ちを引き出し、教科書だけでは得られない学びの時間を生み出しました。
今回の取り組みでは、児童向けの体験授業に加えて、教員研修として授業観察やフィードバック、アンケートも行いました。
実験を体験してもらうだけでなく、子どもたちがどのように考え、どのような反応を示したのかを知ることで、今後の理科教育支援にも
つなげていきます。
日本で使われた一つの教材が、モンゴルでは新しい学びを生み出す道具になる。
そして、明正小学校の子どもたちが経験した「実験する楽しさ」が、遠く離れたモンゴルの子どもたちにも届いていく。
これが、今回の取り組みで生まれた「教育のバトン」です。

今回の寄贈ボランティアは、JHPにとって、日本の小学校から理科実験教材を回収し、海外の子どもたちの学びに活用する初めての取り組みとなりました。
そして、日本の小学校として初めて、この活動にご協力くださったのが明正小学校です。
「使い終えた教材を、捨てずに誰かのために役立てる。」
その小さな選択が、22個の実験キットとなり、モンゴルの38名の子どもたちの実験につながりました。
明正小学校の児童の皆さま、保護者の皆さま、PTAの皆さま、そして活動の実現に力を寄せてくださった協力者の皆さまに、
心より感謝申し上げます。
「できることからはじめよう。」
一つの教材、一人の子どもの思いからでも、学びをつなぐことができます。
JHPはこれからも、日本と海外の子どもたちを学びでつなぎ、一人ひとりの「学びたい」を育む取り組みを続けていきます。
