JHPレポート

JHPでは、カンボジア・コンポンチャム州において、成人のための識字教育事業を実施することとなりました。
対象となる4つの村で識字クラスを開講し、受講生100名(各クラス25名)が、第3期目の学びをスタートしました。
カンボジアでは、過去の内戦や恐怖政治、長年の貧困などの影響により、就学年齢の時に学校に通うことができず、十分な教育を受けられなかった成人が今も多く存在しています。
文字の読み書きができないことで日常生活での不自由を感じたり、就業機会が制限され、安定した収入を得られず貧困から抜け出せない状況に置かれている人々も多くいます。
さらに10代の若者の中にも、日中は家族の仕事を手伝わなければならず学校に通えない、または小中学校を途中で退学し学びの機会を失ってしまった人たちがいます。
識字クラスにはこうした若者も参加し、主にクメール語の読み書きや算数など、生活に必要な基礎的な学習に取り組んでいます。

第3期は、引き続きコンポンチャム州バティエ郡トロップコミューン(地域)内にある、識字率が低い地域を対象に、識字教室を開催することとしました。
●2021年度 実施期間:2021年2月~2022年5月
●対象地域:トゥカウ村/トロップ村/ポルッセイ村/コンポート村→トゥマイ村へ変更(コロナ禍の出稼ぎで出席者減のため)
●受講生:100名(各村25名ずつ)
●教員:4名(各村1名ずつ、2名は教員経験者、他2名は未経験の教員)
●開催日:2021年2月15日
●場所:トロップ小学校
●参加者:約60名(4村受講者、識字教員、コミューン長、各村の村長、JHPスタッフ)
授業は、生徒たちの参加しやすい夜に行われるため、授業の際に使用するソーラーランタン*や文具が手渡され、8ヶ月間の識字クラスがスタートしました。
*Panasonic様よりご支援頂いています

開講式に集まる受講生の方々(写真左)/ ソーラーランタンや文具を贈呈(写真右)
各村にはトレーニングを受けた4名の識字教員が配置され、各村20名、総勢80名の生徒たち全員が卒業できるよう、ベストを尽くします!

各村の識字教員たち(写真)
カンボジア国内での新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府の方針で教育機関は暫定的に閉校になったため、識字クラスも一時中断となりました。この期間、生徒たちは、それぞれ自宅学習や少人数での学習を進めることとなりました。
先生は家庭訪問による学習サポートの実施をしたり、衛生についての基本知識も併せて伝えるようにしています。

各村の先生たちが集まり開催する、月に一度のミーティングの様子(写真左) 夜間でも熱心に学ぶ生徒(写真右)
識字クラスは、コロナウイルスの影響により、一時的に閉講していましたが、再開しました。
収穫期になり、仕事で忙しく、授業を遅れがちな生徒も増えていますが、学びの意欲があり、一人もドロップアウトすることなく授業を進められています。
生徒たちは、識字クラスをきっかけに、パゴタ(仏塔)設備のための資金集めを協力して行ったり、村でのイベントや会合に参加するなど、村内コミュニティに積極的に関わる機会が増えています。

家事や仕事を終えて集まる生徒たち(写真左) / JHPスタッフと先生たちの月に一度のミーティングの様子(写真右)
カンボジア国内で、オミクロン株の市中感染も出始めていますが、予防を徹底しながら授業を進めています。
収穫期が落ち着いてきたため、生徒の出席率が上がり、全員揃って授業ができるようになったクラスも増えました。
先生は、授業内で例題を日常生活に結びつけてレクチャーする等工夫していて、机椅子も用意された環境の中で、生徒たちは熱心に学んでいます。

最初は文字の読み書きがほぼ出来ていなかった年配の生徒たちも、今では、大半が文字の読み書き・計算ができるようになりました。
一方で、掛け算/割り算に少し苦労している生徒も多いため、各村の先生たちを集めてのミーティングの場では、収穫期が終わり次第、「読み書き」だけでなく「算数/道徳」科目にも、力を入れていくことを確認しました。

算数を学ぶ生徒(写真左) 月に一度のミーティングでは、各村の先生が集まり、学習進捗状況や取組みについて確認します(写真右)
●開催日:2022年6月16日
●場所:コンポンチャム州バティエ郡トロップコミューン トロップ小学校
●参加者:バティエ郡教育局代表:チュン・サン氏、トロップコミューン長、各村の村長、スーパーバイザー、
アシスタントスーパーバイザー、識字教員、受講生、JHPスタッフ
今回の第3期は、2021年2月から開始し、途中コロナによって休講期間もありましたが、無事に8ヶ月間のクラスが修了しました。
識字クラス内での感染拡大を心配していましたが、誰一人感染者やドロップアウト者を出すことなく、無事に完了することができ、80名の受講生全員が修了試験に合格することができました。

写真:閉校式に集まった生徒たち
◇ 代表生徒のあいさつ
『私は今までしっかりと勉強したことがなく、今回学ぶ機会を得ることができて、とても幸せです。このクラスに入る前は、何も知りませんでした。今は読み、書き、計算の能力を得ることができました。JHP及び、日本の支援者の皆様、識字教室を開いてくれてありがとうございました。
私はこのクラスを通して自分に少し自信がついたと思います。
皆さんがコロナに感染することなく、健康で幸せに過ごせますようお祈りしております。ありがとうございました。』

代表で挨拶する生徒(写真左)/ 修了証書の授与(写真中央)/ 技術教本・「初めての手紙」の授与(写真右)
各校の代表生徒へ修了証書/ 技術教本/「初めての手紙*」の冊子が手渡されました。
*「初めての手紙」:
今まで文字の読み書きが出来ず、長文を書いたことがない生徒が多い中、識字クラス受講生全員に今回初めて書いてもらった手紙をまとめた冊子です。「どんな知識を得たか、生活の変化、将来新しい知識を使用して何がしたいか」をテーマに設定していましたが、JHPや先生への「ありがとう」の言葉を書く生徒が多くいました。
識字クラス関係各局の方からの、識字クラス生徒たちへ向けての挨拶の時間では、生徒たちやスタッフたちの努力を称え、熱いメッセージが送られました。

4村代表挨拶トゥカウ村 村長(写真左)/ トロップコミューン長挨拶(写真中央)/ 教員代表挨拶 トロップ村 識字教員(写真右)
『現在の30代以上のほとんどの人々は学齢期に内戦のため学校に通えず、このクラスが開始される前は、受講生は何も知らない真っ白な状態でしたが、今は読み、書き、計算の能力を身に着けることができました。
識字クラスに参加した生徒達の生活は今後改善されるでしょう。』
(トゥカウ村 村長)
『知識は誰からも盗まれることはありません。皆さんの幸せのため、平和のため、お金のために、知識をこれからも蓄え続けてください。戦争は終わりました。自分のためだけではなく、家族のため、自分以外の人々のために努力を惜しまないでください。』(トロップ村 識字教員)
『JHPを通して教員への給料と、勉強に必要な文具を支援していただいた日本の支援者の皆様、また、生徒達が勉強を続けやすい環境をつくるためにサポートし、開講時間以外の時でも生徒のスケジュールに合わせてクラスを開講してくれた教員の皆さんのご協力に感謝いたします。
識字クラス修了後も勉強を続け、受講生の皆さんの生活がますます発展するようお祈りしています。』
(トロップコミューン長)
『知識』という新しい一生の宝物を手に入れた生徒たち。
この経験を自信にして、これからもお互いに支え合いながら、学び続けていきます。
